問1 対象構造物は、竣工後2年を経過した鉄筋コンクリート造地上6階建ての集合住宅である。対象構造物は、竣工後2年を経過した鉄筋コンクリート造地上6階建ての集合住宅である。いる。ひび割れ①の原因として、乾燥収縮によるものと推定する。推定理由として、1.ひび割れの発生状況がパラペット長手方向に対し、直行方向であることと、等間隔に発生していること、2.ひび割れの幅が比較的小さいことである。乾燥収縮しやすいパラペットのコンクリートの収縮する挙動を、屋上スラブや庇のコンクリートが拘束し、ひび割れが発生したと考えられる。ひび割れ②の原因として、乾燥収縮によるものと推定する。推定理由として、1.ひび割れの発生状況が、庇1.4m幅のうち、自由端の方から発生し、等間隔であること、2.庇長手方向に対して直行方向に発生していること、3.ひび割れの幅が比較的小さいことである。日射の影響を受けやすく、乾燥収縮しやすい庇コンクリートの収縮する挙動を、屋上スラブコンクリートが拘束し、ひび割れが発生したと考えられる。ひび割れ③の原因として、乾燥収縮によるものと推定する。推定理由として、1.ひび割れの発生位置が、水切りの切り欠き部分の隅角部に発生していること、2.ひび割れの幅が比較的小さいことである。庇の鼻先部分は乾燥収縮しやすい部分であり、その挙動による応力が集中しやすい切り欠き隅角部にひび割れが発したと考えられる。

問2 これらのひび割れに起因して将来生じる可能性のある不具合として、塩害が考えられる。当該構造物は、海岸から300mの位置に立地しており、飛来塩分の影響を受ける環境にあり、発生したひび割れから水分とともに塩化物イオンが侵入し、コンクリート内部の鉄筋を腐食させ、その膨張圧力によりコンクリートに大きなひび割れを発生させる可能性がある。庇部分においては、現状のひび割れにおいて、エフロレッセンスが発生しており、ひび割れが上下面で貫通していると思われる。このひび割れに塩害が加わった場合、ひび割れ幅が大きくなり、エフロレッセンスとともに、雨漏りの不具合も生じる可能性がある。この塩害による不具合を考慮した補修法として、現材発生しているひび割れにエポキシ樹脂等を注入し、ひび割れを閉塞する。竣工後2年しか経過していない構造物であるため、現在発生している乾燥収縮のひび割れ幅が大きくなる等、ひび割れの成長が考えられる。そのため、ひび割れ注入材は追随性のある材料を選定した方が良い。また、新たに乾燥収縮ひび割れが発生する可能性もあるため、定期的な点検が重要と考える。