
問1 対象構造物は、築20年の鉄筋コンクリート造(ラーメン構造)地下1階、地上5階の商業建物(デパート)である。今後の維持管理のための調査項目を記述する。①コンクリートの物性値調査。現地からコア試料を採取して、圧縮強度試験、静弾性係数試験を実施し、コンクリートの物性値に異常がない事を確認する。②鉄筋の健全性の調査。自然電位法により、鉄筋腐食の可能性を調査し、腐食している可能性がある箇所を特定する。③コンクリートや鉄筋の劣化因子の侵入状況を調査する。コンクリートの中性化を調査するため、中性化試験を行う。また、飛来塩分の影響を受けていない塩化物イオン濃度の試験を行う。④アルカリシリカ反応の有無を調査する。現地コア試料により、促進膨張試験を行い、残存膨張性の有無を調査する。⑤ひび割れ調査。コンクリート面の状況を調査し、ひび割れの有無やひび割れがあった場合、その幅や長さを調査し、ひび割れ図を作成する。
問2 床スラブに生じていると考えられる不具合として、床スラブの異常なたわみを挙げる。その調査項目として、たわみ量調査や、たわみに伴うひび割れの発生状況調査、床スラブの構造調査である。調査方法として、たわみ量については、変位計や傾斜計を用いて、上部から載荷した場合のスラブの変形や傾きの増加量を測定し、その結果に基づいて評価を行う。ひび割れ発生状況調査については、目視により床スラブ下面や上面のひび割れ発生状況を調査する。たわみによるひび割れ発生の場合、床スラブ上面においては、スラブ周囲の固定端に発生していることが多く、下面においてはスラブ中央に交差するひび割れが発生している場合が多い。また床スラブの構造調査においては、設計図により断面寸法、鉄筋のかぶりを調査し、現地において鉄筋探査機による配筋状況やかぶり深さを調査する。地下外周壁に生じていると考えられる不具合として、ひび割れからの漏水を挙げる。その調査項目として、ひび割れ発生状況調査、地下外周壁の構造調査を行う。調査方法としては、ひび割れ発生については、床スラブの調査方法と同様に目視によるひび割れの有無等を調査する。地下外周壁の構造調査についても、基本的に床スラブと同様に設計図書による調査や現地における鉄筋探査機による調査である。
問3 道路管理者に提案すべき今後の維持管理計画として、今回の大規模改修については内装を計画しているが、外観からでは分からないコンクリート内部の不具合があった場合は、定期的に点検を行い、できるだけ近いうちに補修を予定することである。特に外壁に発生した鉄筋腐食に伴うかぶりコンクリートの剥離・剥落は、第三者災害になる可能性もあるため、注意する必要がある。また、現在発生している床スラブと地下外壁の不具合について、どちらも外部からの劣化因子の影響を比較的受けにくい箇所であるにも関わらず、不具合が発生していることから、構造上の問題がある可能性がある。ただし、設計図書はあるが、工事記録や維持管理記録が無く、施工の状況が不明である為、具体的な原因は推定できない。変状が確認された段階で専門業者に問い合わせ、必要な調査、対策が必要と考える。当該構造物の長期的な使用には、定期的な点検が重要と考える。
