
対象構造物は、海生粘土層とれき層からなる地中に建設された、竣工後10年が経過した地下鉄線のシールドトンネルである。以下に問いについて記述する。
問1 変状の状況として、写真1に白色析出物と台座コンクリート隅角部の欠損が見られる。この変状の原因を、硫酸塩による化学的浸食による変状と推定する。推定理由として、①当該シールドトンネルの背面地山が海生粘土層であり、トンネル内への漏水には、硫酸塩が含まれていることが考えられること、②変状箇所に発生している白色析出物は、表1に示されるの成分から、硫酸ナトリウムであると考えられること、である。漏水に含まれる硫酸塩がコンクリート内に侵入し、硫酸イオンがナトリウム塩として析出した。その際の結晶析出圧により、台座コンクリートの硬化体微細構造を膨張破壊したと考えられる。その現象が、欠損しやすいコンクリート構造物の隅角部に現れたものと考える。構造物の健全性を評価するための調査項目と調査方法として、①劣化因子の生成状態の観察を行う。現地の変状が発生している箇所からコンクリート片を採取し、SEMによりコンクリートの微細構造を観察することにより、劣化因子の生成状態を観察する。②内部鉄筋の状態の調査。硫酸イオンが侵入していることが考えられるため、内部鉄筋が腐食している可能性がある。そのため、内部鉄筋をはつり出し、腐食の有無や腐食の程度を観察する。鉄筋の断面欠損が確認されれば、10%クエン酸アンモニウム溶液浸漬により、腐食量試験を行う。③コンクリートの物性値の調査を行う。現地の変状が発生している箇所からコンクリートコアを採取し、圧縮強度試験と弾性係数試験を行い、健全なコンクリートであるかを調査する。
問2 今後50年間使用するための維持管理計画として、①調査結果に応じ、変状箇所の鉄筋腐食箇所の防錆処理又は添筋等の補修を行い、鉄筋の防錆効果の向上または、耐力の回復を行う。②台座コンクリート隅角部の断面欠損箇所の断面修復を行う。上記の鉄筋補修箇所と合わせ、ポリマーセメントモルタルにより断面修復を行う。③漏水箇所の排水設備の整備を行う。漏水がコンクリートに接触しないように、配管等による排水設備の整備を行う。④コンクリート表面保護を行う。漏水がコンクリートに接触する部分は、表面被覆を施し、コンクリートの保護を行う。使用する表面被覆材は、耐薬品性の材料を使用する。
