問1 発生原因による分類の一つ目として、コールドジョイントに起因するひび割れと推定できる、ひび割れ①、⑦、⑧である。分類した理由として、供用開始後15年でそれぞれのひび割れの幅が0.05mmと小さく、施工時に発生したひび割れがその後の進展が無く、そのまま残ったものであると考えられること。発生原因による分類の二つ目として、温度変化に起因するひび割れと推定できる、ひび割れ②、③、④である。分類した理由として、ひび割れ発生箇所がすべて建物の隅角部であり、斜め方向に発生していることである。日射による影響を受けやすい屋上のコンクリートの温度が上昇し、それに伴い体積が膨張する挙動を建物コンクリートが拘束して発生したものと考えられる。発生原因による分類の三つ目として、乾燥収縮に起因するひび割れと推定できる、ひび割れ⑤、⑥である。分類した理由として、ひび割れ発生箇所が壁の両柱や梁付近であり、壁の長手方向と直交方向に発生しているひび割れが目立つことである。建物の外壁は乾燥収縮が発生しやすい部位であり、コンクリート内部の水分が数年をかけて逸散し、これに伴い体積が収縮する挙動を両柱が拘束し、ひび割れが発生したものと考えられる。

問2 一つ目の分類に対する対策として、ひび割れ箇所にセメントペーストの刷毛塗りを行う。選定理由として、発生しているひび割れの幅が小さく、今後20年の供用を考えてもこれ以上のひび割れの進展が考えにくいため、ひび割れ発生箇所の表面処理のみでよいと考える。二つ目の分類に対する対策として、ひび割れ箇所に可とう性のあるエポキシ樹脂等の材料でひびわれ注入を行う。選定理由として、ひび割れからの水や二酸化炭素等の劣化因子の侵入防止をする必要があること。また、ひび割れ発生の原因が温度変化によるものと考えられ、これによりひび割れ幅の挙動が今後もあり、その挙動に追随する材料を使用する必要があることである。三つ目の分類に対する対策として、ひび割れ箇所にエポキシ樹脂等の材料でひび割れ注入を行う。選定理由は、ひび割れ幅からすると、セメントペーストの刷毛塗りでは、不十分の可能性があるため、ひび割れ注入を行い、劣化因子の侵入を抑制する。ひび割れの発生原因と考えられる乾燥収縮は、供用年数からすると収束していると考えらるが、外壁であるため、温度変化によるひび割れ幅の挙動が考えらることから、可とう性のある材料を使用する事が望ましいと考える。また、全体に共通して、内部鉄筋に腐食があれば、その劣化の程度に応じ対策が必要である。また、ひび割れの補修跡を目立たなくさせるためと、今後の供用期間を考慮して、外壁全体に表面保護工を行うことを提案する。