
問1 対象構造物は供用後38年が経過した中部地方内陸部に位置する鋼橋の鉄筋コンクリート床板である。供用23年目に上面増厚工法により補強されたが、写真1に見られる床板下面に発生した亀甲状のひび割れや、写真2に見られる泥土状のものの吹き出しや、写真3に見られる既設コンクリートと増厚コンクリートの境の不具合が確認された。床板が再劣化した理由について、①表1より、交通量が25000台/日、大型車混入率が40%であり、大きな交通荷重が作用したことや②補強前に疲労により劣化した床板コンクリートの補修が十分に行われずに、補強が行われ、補強後の床板コンクリートの耐荷力が不足していた可能性があることである。②については写真3より、既設コンクリートと増厚コンクリートの境に空洞が見られる。これは、疲労により劣化したコンクリートが未補修のまま放置され、交通荷重により疲労劣化が進行し、骨材化現象を発生させたものと考える。床板防水が補強前も後もないことから、床板に水分が浸透する状況にあった。そして床板下面まで貫通したひび割れのひび割れ面の摩耗が促進され、コンクリートの骨材化現象が発生し、コンクリートのセメント分と細粒分が舗装面に吹き出したり、床板下に流下したりした。調査方法として、電磁波レーダーにより床板内部の空洞の有無を調査する。また、載荷試験により実測のたわみ量やひずみ量を計測し、計算値との間に有意の差があるか調査する。
問2 この橋梁を今後50年間供用するための対策として、①電磁波レーダー法により確認された空洞箇所を床板コンクリートと同等の品質のコンクリートにより充填する。②路面水が床板内に浸透することを防止するために、床板防水を設置する。冬季には凍結防止剤として塩化ナトリウムが散布されるため、塩害による劣化対策にもなる。③疲労劣化の進行により床板下面に見られる亀甲状のひび割れに対し、エポキシ樹脂等によりひび割れ注入を行う。これにより、コンクリート内への劣化因子の侵入経路を閉塞する。④床板下面に補強材を貼り付ける。今後も交通量が変化することがなく、引き続き大きな交通荷重が作用することになるため、床板下面に鋼板または連続繊維補強シートを貼り付け、床板コンクリートの曲げ耐力の向上を図る。
