対象構造物は、東北地方内陸部に立地する、建設後約30年を経たRC造の市庁舎である。南面1階外部柱の脚部と屋上の防水押えコンクリート表面に変状が見られる。以下に問いについて記述する。

問1 写真2に見られる変状の発生原因として、凍害と推定する。推定理由として、①変状の発生状況がコンクリート表面の微細ひび割れであること、②変状発生箇所が、1階外部柱の脚部であり積雪によりコンクリート内部に水分が供給される箇所であること、③コンクリートの水セメント比が57%と比較的大きいこと、④変状発生箇所が南面であり、日射の影響により凍結融解を繰り返す環境であることである。写真3に見られる変状の発生原因として、凍害と推定する。推定理由として、①変状の発生状況がコンクリート表面のスケーリングであること、②コンクリートの水セメント比が60%と大きく、施工時のブリーディング水によりコンクリート表層部に脆弱な層が形成されていた可能性があること、③コンクリートに人口軽量粗骨材が使用されており、粗骨材内部の空隙に水分を多く含んでいた可能性があること、④変状発生箇所が屋上であり、日射の影響により、凍結融解を繰り返す環境であることである。写真2の変状が写真1に比べて進行した理由として、日射量の違いと考えられる。写真1は北面で日射量が少なく、写真2は南面で日射量が多い。この日射量に違いにより南面の方が凍結融解の回数が多くなり、変状が進行したと推定する。写真3の領域AとBで変状の程度に差が生じた理由は、日射量の違いと考えられる。領域Aは設備架台の影になるのに対し、領域Bはそのような日射を遮るものがない。この日射量の違いにより領域Bの方がが凍結融解の回数が多くなり、変状が進行したと推定する。

問2 変状の原因を特定するための詳細調査項目として、①環境調査。必要理由として、気温、凍結融解回数を調査し、凍害が発生する環境であったことを確認する。②水銀圧入式ポロシメーター(MIP)により、コンクリート内部の気泡径を調査する。必要理由として、耐凍害性のある気泡(25~250㎛)があるか確認する。③リニアトラバース法により、気泡間隔係数を求める。必要理由として、耐凍害性を有する気泡間隔係数(200~250㎛)であるか確認する。

問3 今後35年建物を使用するための補修法法として、南面1階外部柱の脚部に対して、①変状が発生している微細ひび割れ範囲のかぶりコンクリート部分を除去し、ポリマーセメントモルタルにより断面修復し、劣化部分の除去並びに補修を行う。②積雪により水分を供給する可能性のある高さ以上のコンクリートに、表面被覆を施工し、今後の水分供給を遮断する。屋上の押えコンクリートに対して、①コンクリート表層部のスケーリング箇所のかぶりコンクリートを除去し、ポリマーセメントモルタルにより断面修復し、劣化部分の除去並びに補修を行う。②押えコンクリート全体に表面被覆を施工し、今後の水分供給を遮断する。③排水勾配の整備等を行い、押えコンクリート上に雨水が滞水することが無いようにする。