対象構造物は、海岸沿いの鉄道上に設置されたスノーシェッドである。このスノーシェッドは、別々の年代に建設されたA区間とB区間が連続している。

問1 A区間の梁部で変状が発生せず、B区間の梁部にて変状が発生した理由として、内在塩分の有無に起因する塩害によるものと推定する。その理由として、コンクリートに使用された骨材として、A区間は川砂利や川砂が使用されているのに対し、B区間は、川砂利と海砂が使用されている。B区間の建設時期が、高度成長期後半で、骨材不足により海砂が使用され、除塩不足であった可能性がある。これは、コンクリート図3に示されるように、B区間におけるコンクリート中の全塩化物イオン濃度が、表層部だけでなく、80mm以上の深さにおいても高濃度の塩化物イオン濃度であることから推定される。また、この内在塩分により、コンクリート内部が高アルカリとなり、中性化が進行しやすい状態となり、中性化フロント現象により鉄筋かぶり付近において腐食発生限界塩化物イオン濃度を超えたものと考えられる。

問2 B区間の補修箇所が再劣化している原因として、補修深さの不足によるものと推定する。図2より、変状が発生した個所の鉄筋表面までの深さの補修であり、鉄筋腐食の原因となった塩化物イオンが、鉄筋裏側においてコンクリート内部に残されていたと考えられる。この塩化物イオンの再拡散により、補修箇所が再度劣化したものと推定する。

問3 この構造物を今後30年間供用する場合の対策として、B区間を対象として、自然電位法により腐食の有無を調査する。この調査により内在塩分による鉄筋腐食の有無のが判断できる。調査結果に基づき、鉄筋腐食の可能性がある箇所のコンクリートを除去し、鉄筋を露出させる。その際、鉄筋の裏側数センチまでコンクリートを除去し、コンクリートに含まれている塩化物イオンを一緒に除去する。露出した鉄筋は防錆処理し、必要に応じ添え筋による補強や、鉄筋の交換を行う。その後、ポリマーセメントモルタルで断面修復する。選定理由としては、現状において、変状が発生している箇所の補修に加えて、今後30年間の間に同様の変状が発生する可能性のある個所の変状発生予防である。補修箇所以外については、脱塩工法による内在塩化物イオンの除去をおこない、変状発生要因を排除する。