対象構造物は、RC造2階建て建築物である。1階倉庫の電気ケーブルより出火し、被災は1階を中心に建築物全体に及んだ。

問1 写真1の火害等級をⅡ級と推定する。推定理由として、内装用木材が炭化したことから、火害は受けているものの、コンクリートの変状が、構造耐力上影響のない微細なひび割れであることである。写真2の火害等級をⅢ級と推定する。推定理由は、コンクリートの変状として、火害を受けているコンクリートの表面がピンク色に変色していること、発生しているひび割れが、幅0.3mmであることと、最大深さ10mmのポップアウトが発生していることから、かぶり部分の表層側に被害があると考えられることである。写真3の火害等級をⅣ級推定する。推定理由は、当該箇所が出火元であり、火害を大きく受けていると考えられ、コンクリート表面が灰白色に変色していること、梁の隅角部で広範囲の浮きと剥落が発生しており、コンクリートと主筋との付着に支障があると思われることである。写真4の火害等級をⅠ級と推定する。推定理由は、配線の被覆が軟化する程度の被害で、コンクリートの構造耐力上火災の影響を全く受けていない状態であることである。
問2 写真3の被災部についての追加調査項目とその目的、及び留意点を3つ記述する。①受熱温度の推定調査。目的は、火害の影響の範囲や深さを調査し、補修方法や範囲の検討をするための基礎資料とすること。留意点として、UVスペクトル法を用いる場合、混和剤の種類によって、適用できない場合があるので、コンクリートの配合等の設計資料を事前に確認する必要がある。②梁の耐荷力調査。目的は、火害等級がⅣであり、構造耐力上影響が大きい状態であるため、その調査を行う。留意点として、載荷荷重が過大とならないように、事前に検討を行う。③コンクリート及び鉄筋の物性値を調査する。目的は、火害を受けたコンクリート、鉄筋の物性値の低下度を調査し、補修の有無を判断する。留意点として、コンクリートの物性値のうち、圧縮強度は回復する見込みがあるが、弾性係数は、火害の程度によっては回復が見込めない場合もあるため、調査結果は慎重に検討する必要がある。一方鉄筋は受熱温度500℃以下であれば、冷却後に降伏点、引っ張り強さが回復する。ただしPC鋼材を使用している場合は、受熱温度300~400で機械的性質の低下が生じるため、注意が必要である。
問3 本建築物を今後30年供用するために必要な補修・補強方法を記述する。調査の結果、物性値に問題があると判断された鉄筋とコンクリートについて補修を行う、鉄筋のは物性値が低下している範囲の交換を行い、コンクリートについては対象部分を除去し、打ち直しを行う。耐荷力調査の結果、耐荷力の低下があれば、梁の下面に補強材として、鋼板又はFRPを接着させ、曲げ耐力の向上を図る。
