対象構造物は、近畿地方内陸部の田園地域に設置された、建設竣工後50年を経過したRCラーメン鉄道高架橋である。

問1 A区間の床板下面に、コンクリートの剥離・剥落が見られる。この変状の原因として、塩害により鉄筋が腐食し、その膨張圧力によるものと推定する。推定理由として、①表1より、コンクリートに使用した細骨材が海砂であり、高度経済成長期であった建設当時、除塩不足であった可能性があること、②表2より、コンクリート表面から100mmの位置で高濃度の塩化物イオンが存在しており、内在塩化物イオンがあったことが考えられること、③表2より、中性化深さが20mmであり、中性化フロント現象により、鉄筋付近で腐食発生限界塩化物イオン濃度を超える濃度であった可能性があること、④表1より、スラブ軌道に防水層が無く、降雨等により床板内部に水分が侵入する構造であったことと、床板下面に剥落防止用表面被覆を施工することにより、床板内部に侵入した水分が、床板下面に滞水する構造であったこと、が考えられる。また、B区間の床板に変状が生じていない理由として、表2より、室内用途のため乾燥環境にあり、年間平均相対湿度が40%を比較的低く、床板内部に浸透した水分が逸散する状況であったため、鉄筋腐食に必要な水分が無かったことが考えられる。

問2 A区間の床板の劣化機構を特定するための調査方法として、①塩化物イオン濃度を測定し、鉄筋付近における塩化物イオン濃度を調査する、②含水率試験をし、コンクリートに水分が含まれていたことを確認する。A区間の対策範囲を決定するために必要な調査方法として、①自然電位法により、鉄筋が腐食している可能性がある範囲を調査する、②自然電位法によって得られた結果をもとに腐食している鉄筋をはつり出し、腐食状況、質量減少量等を調査する。

問3 今後30年間供用するための対策として、①鉄筋の腐食状況に応じて、防錆処理又は補強・交換を行う。鉄筋をはつり出した箇所のコンクリートは、腐食発生限界塩化物イオン濃度以下になる深さまで除去し、ポリマーセメントモルタルにより断面修復する。選定理由として、床板の構造耐力の回復が目的である。②スラブ軌道に床板防水を設置する。選定理由として、塩害による鉄筋腐食を発生される水分の侵入を遮断する目的である。