問1 ひび割れの特徴の1つ目として、北面にひび割れの数が多く、南面が北面に比べひび割れの数が少ないこと。また、南面には建物上部にひび割れが集中していること。2つ目として、北面と南面ともに、ひび割れの方向が鉛直方向のものが多いこと。3つ目として、北面の建物下部両端に逆ハの字にひび割れが発生していることである。

問2 1つ目のひび割れは乾燥収縮によるものと考えられ、その発生原因は、設計の観点から、外壁の配筋にあると推定する。表1より、南面の外壁の鉄筋径に対し、北面の鉄筋径は小さいため、北面は南面に対し、ひび割れ発生に対する鉄筋のコンクリートの拘束力が小さかったことが考えられる。そのため、ひび割れ抵抗力の小さい北面にひび割れが多く発生した可能性がある。また、南面建物上部のひび割れは、乾燥収縮による挙動を拘束力が建物端部では弱いため、建物上部に集中したと考えられる。2つ目のひび割れは自己収縮や乾燥収縮によるものと考えられ、その発生原因は、材料の観点から、コンクリートの配合にあると推定する。表1より、使用コンクリ―トは高強度であるため、セメント量が多いことが考えられる。そのため、経年により水和反応が進行するとともにコンクリート内部の水分が消費され、体積が収縮し、ひび割れに至ったと考えられる。これに加えて、コンクリート配合の単位水量が多いことから、施工後のコンクリート内部の水分逸散もひび割れ発生の原因と考えられる。また、施工の観点から、コンクリート打設が夏季に施工されており、温度が高い状態であった。竣工後冬季を迎えた時にはコンクリートの温度は低くなり、体積も減少する。これを5年間繰り返し、ひびわれ発生に至ったと考えられる。3つ目のひび割れは温度収縮や乾燥収縮によるものと考えられ、環境の観点から、気中にある外壁コンクリートは、乾燥収縮等によって体積が収縮する挙動になるのに対し、地中のコンクリートは乾燥収縮等が起こりにくく、体積の変化が起こりにくい。このため、気中のコンクリートが収縮する挙動を地中のコンクリートが拘束する状況になり、逆ハの字のひび割れが発生したと考えられる。
問3 ひび割れの補修方法として、ひび割れ注入を行う。コンクリートの温度変化によるひび割れの挙動することが考えられるため、追従性のある材料を使用する。補修方法の選定理由として、ひび割れから水分や二酸化炭素に侵入により、鉄筋腐食が発生することを防ぐ目的として、ひび割れを閉塞する。その後、外壁に表面被覆を行う。補修方法の選定理由は、今後の供用期間におけるコンクリートの保護と美観性の確保である。アルカリが豊富で、単位水量が多いコンクリートの場合、中性化の進行が早い可能性があり、その劣化から保護する目的と、ひび割れ補修の跡を見えなくしかつ、美観性の向上を目的としたものである。
