
問1 対象構造物は、関東地方の内陸部において、昭和40年に建設された築41の鉄筋コンクリート造建物である。この変状の原因として、桁行方向の屋上シンダーコンクリートが、パラペットを押し、その影響で外壁がせり出したと推定する。その理由として、屋上に設置されているシンダーコンクリートは、日射の影響を大きく受け、日射によりコンクリートの温度が高くなると膨張する。通常は、伸縮目地においてその挙動を吸収するが、目地の間隔が不適切である等の原因や想定を超えた膨張、経年劣化により目地材が劣化し、その機能が十分で無く、シンダーコンクリートの膨張によるパラペットを押す力が吸収されなかったと考えられる。
問2 この変状をこのまま放置した場合、①築41年であることを考慮すると、発生している変状がこれ以上大きくなることは考えにくいが、変状が発生していない最上階外壁コンクリートにも、同様の変状が発生することが考えれる。②変状箇所から、コンクリート内部に水分や二酸化炭素が侵入し、内部鉄筋が腐食する可能性が考えられる。鉄筋が腐食すると、コンクリートにひび割れ等を発生させ、室内への漏水や、錆び汁により美観性の低下につながる。③コンクリートの変状の発生状況により、コンクリート片の剥落・落下が考えられ、第三者災害につながる可能性がある。
問3 この建物を30年程度使用するための対策として、①まず、現状のコンクリートの調査として、ひび割れ調査、自然電位法による鉄筋腐食調査、中性化試験、コア抜きによるコンクリートの物性値(圧縮強度試験、弾性係数試験)の調査を行う。②次に変更箇所の補修として、変状箇所のコンクリートを除去し、内部鉄筋の腐食の有無を確認する。腐食していれば、防錆処理又は補強を行う。その後はポリマーセメントモルタルにより断面修復を行う。また、自然電位法により鉄筋腐食の可能性がある箇所も同様な処置とする。ひび割れ調査の結果に基づき、エポキシ樹脂注入によりひび割れ補修を行う。中性化試験の結果により、使用期間内に中性化残りが不足するようであれば、表面被覆工又は、表面含浸により対策を行う。③屋上シンダーコンクリートの目地の補修を行う。既設の目地材を補修し、目地を増やし間隔を小さくする。
