問1 高架橋に発生している変状の原因として、内在塩分の存在と中性化に起因する塩害と推定する。
その理由として、

①図2より、コンクリート内部まで、高濃度の塩化物イオンが存在しており、コンクリートに使用された骨材に塩分が含まれていたことが考えられる。当該高架橋の建設時期が高度成長期であり、この時期の西日本では、コンクリートに使用する骨材の不足により、海砂が使用されている。この海砂の除塩不足によりコンクリート内部に塩化物イオンが混入された事が考えられる。
②図2より、中性化フロント現象により鉄筋のかぶり深さで塩化物イオン濃度が2.56kg/m3となっており、腐食発生限界塩化物イオン濃度を超えたものと考えられる。
③変状の様子として、かぶり部分のコンクリートが剥落しており、鉄筋腐食による変状と考えられる。
以上の理由から、コンクリートに混入された塩分が中性化によりその濃度が鉄筋付近において高濃度となり、鉄筋腐食限界濃度を超え、腐食膨張圧によりかぶりコンクリートが剥落したものと推定する。
問2 この変状を放置した場合の予想される劣化の進行について、高架橋内側面においては、同様の変状が多数発生すると考えられるが、一年を通じてほとんど雨がかかることがないため、鉄筋腐食の進行は遅いと考えられる。一方高架橋外側面においては、内側面と同様の変状が点在するようになり、雨がかかることから、鉄筋腐食の進行は早いと考えられる。現状の劣化の程度を考慮すると、50年後には、変状の個所数、劣化の程度とも大きく進行し、耐荷力の低下も考えられる。
問3 対策及び実施上の留意点について、
①内在塩分の除去を目的とし、脱塩工法を実施する。留意点として、効果確認として、塩化物イオン濃度の測定を行う。
②中性化部分に対するアルカリ付与と劣化因子の侵入防止を目的とし、表面含浸工法を行う。留意点として、シラン系は透気性を有するため二酸化炭素の侵入を防止できない為、ケイ酸塩系の含浸材を使用する。
③変状箇所の補修として、露出鉄筋の防錆処理と、ポリマーセメントモルタルによる断面修復を行う。留意点として、マクロセル腐食が発生しないよう断面修復範囲に注意する。
今後の維持管理計画として、高架下は第三者が立ち入ることも考慮し、定期的に目視調査及びたたき調査によりコンクリートの剥離や浮きがの有無を点検する。あった場合は、剥離部分を叩き落す等の応急処置と、必要に応じ第三者の立ち入り禁止を行う。
