問1 当該鉄筋コンクリート造の校舎屋根スラブ天井面に生じた変状の原因を、コンクリートの収縮に起因するものと推定する。推定理由は、①表2より、水セメント比が64%であり、単位水量が多く、コンクリート打設後の乾燥収縮量が大きかったことが考えられること、②表1より、屋根スラブのコンクリート打込み時期が8月であり冬季との温度差による温度収縮が大きかったことが考えられること、③表1より、アスファルト防水とシンダーコンクリートが供用開始後改修されておらず、劣化により破損していた可能性があること、④写真2周辺のかぶりが約20mmであったこと、である。これらの理由より、乾燥収縮や温度収縮によりコンクリートが収縮することにより、ひび割れが発生し、経年劣化したアスファルト防水から侵入した水が、発生したひび割れを流下し、写真1にみられるようにひび割れ周りに白色析出物を発生させたと推定する。その結果、鉄筋が腐食し、かぶりコンクリートを剥落させ、写真2のような変状に至ったと推定する。中性化は鉄筋腐食の不動態被膜を消失させ、鉄筋腐食進行を助長させたと推定する。

問2 変状に対する補修計画を立案するための調査方法として、①アスファルト防水の破損の有無の調査、②白色析出物の成分調査、③屋根スラブ下面の中性化試験とひび割れ調査、④自然電位法によ鉄筋腐食可能性の調査、⑤露出鉄筋の腐食量調査、である。今後20年間使用するために必要な補修工法について、①アスファルト防水とシンダーコンクリートを取り換える。その際、断熱材等を設置し、日射による屋根スラブの温度収縮を緩和させる対策をとる。②自然電位法により、腐食の可能性が大きい箇所のコンクリートを除去し、内部鉄筋の腐食があれば、防錆又は補強等の処置を行い、ポリマーセメントモルタルで断面修復する。すでに露出している鉄筋も同様の処置をする、③屋根スラブ下面に発生したひび割れにエポキシ樹脂等を注入する、④屋根スラブ下面コンクリートの中性化対策として、ケイ酸リチウム等ケイ酸塩系の表面含浸材を塗布する。乾燥収縮は、供用開始後40年経過した現在では、完全に収束していると考えられるため、特に対策は必要としない。