問1 対象構造物は寒冷地山間部に位置する道路橋のポストテンション方式プレストレストコンクリート単純中空床板で、建設後約20年が経過している。発生している変状の状況として、床板下面に鉄筋に沿っていると思われるひび割れが橋軸方向に発生しており、ひび割れ幅は0.1~0.2mmである。この変状の主要な発生原因として、①塩害。コンクリートに使用されている細骨材が海砂であることから、塩害の可能性がある。②凍害。立地環境が寒冷地山間部である。③アルカリシリカ反応。建設時期がアルカリシリカ反応の対策が実施される前であり、コンクリート中の海砂から、アルカリが供給される状況であった。

問2 表1に示されている調査結果を踏まえ、発生している変状の原因を凍害と推定する。推定理由として、①立地環境が寒冷地山間部であり、冬季にコンクリート内部の水分が凍結融解を繰り返す環境であったこと、②ひび割れ発生箇所にエフロレッセンスが見られ、水分の供給があったことと、ひび割れの発生状況がPC鋼線に沿ったものであり、エフロレッセンスに錆汁が見られないことから、床板コンクリート打設後にコンクリートの沈降によりシース管下にできた空隙に、PC鋼材定着部から水分が侵入・滞水した可能性があること、である。必要な調査項目として、環境調査と空洞調査である。環境調査は、気温・日射量・凍結融解回数を調査し、凍害が発生する環境であったことを確認する。空洞調査は、X線透過撮影法又は電磁波レーダー法により、シース管内外の空隙の有無を確認する。また、空隙が確認された場合は、代表箇所のコンクリートを斫り取り、空隙の目視確認や鋼材腐食の調査を行う。ひび割れ箇所の発生した、エフロレッセンスの成分調査も行い、塩化物イオンの含有等の調査を行う。

問3 この構造物を今後30年程度使用するとした場合、下記の対策を提案する。①PC鋼材定着部の侵入水対策を行い、水分の侵入口を閉塞する。②発生したひび割れとともに、シース管下の空隙の充填を行い、水分や二酸化炭素などの劣化因子がコンクリート内部に侵入することを防止する。また、床板下面のかぶりが30mmに対し、中性化深さが平均12mmであり、内在塩分により比較的塩化物イオン濃度が高いことから、中性化対策が必要と考える。床板下面に対し、表面含浸工法や、表面被覆工法によりコンクリートの表面保護を行う。