
問1 煙突頂部にひび割れが生じた原因として、中性化と科学的浸食によるものと推定する。その推定理由は、①表2より、煙突内部のCO2濃度やSOx濃度が高いこと、②煙突頂部は外気に近く、雨水等の水分供給が多いこと、③表1より、ひび割れ部に沿った位置の主筋が腐食していること、である。また、表1より壁体外側の煙突頂部の表面温度が、稼働時には50℃に達し、非稼働時の外気温との温度差が大きく、温度ひび割れにより上記変状を助長させている可能性もある。さらに、表3より、コンクリートの単位水量が比較的多く、乾燥収縮も原因の1つと考えられる。
問2 写真2に示す主筋の腐食が生じた理由と、写真4に示す壁体内部と壁体外部の中性化の違いの理由として、表1より、煙突内部のCO2濃度やSOx濃度が高く、写真3に見られるように、煙突内部の損傷が激しいことから、硫酸による化学的浸食や、中性化の進行が煙突外側より内側の方が進行しやすい状況であった。そのため、鉄筋の不動態被膜が消失し、写真2のように内側の主筋が外側のフープ筋より腐食が進行していると考えられる。
問3 この煙突を今後30年間使用するために必要な調査方法として、①コンクリートの物性試験として、圧縮強度試験、弾性係数試験を実施し、コンクリートの健全性を調査する、②自然電位法により、鉄筋が腐食している可能性がある箇所を調査する、③鉄筋の腐食量調査を行い、耐荷力に問題が無いか調査する。次に対策として、①コンクリートの物性値が低下していれば、炭素繊維等の連続繊維による巻き立て補強を行う、①ひび割れ箇所の鉄筋の防錆又は交換や補強を行う。その後、ポリマーセメントモルタルを用いて断面修復を行う。②ひび割れ幅の小さい箇所については、ひび割れ注入を行い、劣化因子の侵入経路を遮断する。③硫酸により損傷した耐熱ライニングを交換する。その際、煙突内側のコンクリートにケイ酸塩系の表面含浸材にてアルカリを付与する。その後、表面被覆を施し、今後の劣化因子の侵入を遮断する。対策後の維持管理計画については、定期的にひび割れ等の外観調査を中心とした点検を行い、かぶりコンクリートの剥落による第三者災害を防止する。
