
問1 仕上げ材の膨れの発生原因として、人工軽量骨材中の鉄鉱石の腐食による膨張と推定する。推定理由として、表2より、粗骨材の化学成分として、酸化鉄や酸化マグネシウムが含まれていることや、写真3より、膨れ発生箇所には、粗骨材を中心として、コンクリートの表面部分が剥離しており、鋼材腐食による剥離と同様の状況であること、仕上げ材として、合成エマルションペイントがされており、コンクリート打設後の表面部から水分が逸散するのを防止し、内部に水分が保持された状態であったと考えられる。さらに、裏面の打放し部からの水分供給もあったため、鉄鉱石の腐食が進行したと考える。これらの理由により、仕上げ材の膨れが発生したと推定する。
問2 ひび割れAの発生原因として、屋上の温度膨張によるひび割れと推定する。推定理由として、ひび割れの発生箇所として、建物上部の隅角部にハの字のひび割れが発生していることである。屋上コンクリートは日射による温度上昇のため、体積が膨張する。その膨張を躯体コンクリートが拘束し、ひび割れAが発生したと推定する。ひび割れBの発生原因として、施工中のコールドジョイントによるものと推定する。推定理由として、ひび割れがほぼ水平に発生しており、コンクリートの打設面の打ち継ぎ箇所と考えられること、ひび割れの幅が小さく、発生後の進行が見られないことである。施工時のコンクリート打ち継ぎ面の処理や打設時の締固め方法に問題があった可能性がある。ひび割れCの発生原因として、乾燥収縮によるひび割れと推定する。推定理由として、ひび割れの発生箇所として、建物下部の隅角部に逆ハの字のひび割れが発生していることである。躯体コンクリートは、経年により水分逸散のため、乾燥収縮する。その収縮を地中部分の基礎コンクリートが拘束し、ひび割れCが発生したと推定する。
問3 必要な調査項目として、自然電位法による鉄筋腐食の可能性の調査を行う。対策として、1~6階の外壁及び塔屋階外壁については、自然電位法により鉄筋腐食の可能性が高い箇所があれば、その部分の内部鉄筋をはつり出し、鉄筋の防錆処理又は添え筋等による補強を行う。発生しているひび割れについては、温度変化によりひび割れ幅の変動が考えられるため、追従性のある材料でひび割れ注入を行う。中性化対策として、ケイ酸塩系の表面含浸材を塗布し、コンクリート内部にアルカリを付与する。又は電気化学的補修として、再アルカリ化工法も検討する。塔屋階目隠し壁については、自然電位法により鉄筋腐食可能性が高い箇所があれば、その部分をはつり出し、鉄筋の防錆処理又は添筋等による補強を行う。鉄鉱石については除去する。現状の合成樹脂エマルションペイントを除去し、コンクリート面に亜硝酸リチウム含浸材を塗布することにより、内部鋼材の再不動態化を行う。仕上げ材の復旧は透気性のある材料を用いることも検討する。
