対象構造物は、北関東の内陸部に位置するRC中空床版橋であり、供用開始から50年が経過している。

問1 A部床版上面に亀甲状のひび割れと、一部陥没と見られる変状が発生している。この変状の原因として、厚さが薄い床版に、過大な交通荷重が作用したことによる損傷と推定する。推定理由は、表2から、コンクリートの厚さが60㎜である箇所があることと、表1より、交通量が多くまた、大型車混入量も多いことである。B部床版下面に一方向ひび割れがみられる。この変状の原因を、疲労と推定する。推定理由は、写真2より、ひび割れの発生状況が、橋軸直角方向に一方向ひび割れが発生していること、上記の過大な交通荷重に加え、表1より、適用示方書が昭和39年のものであり、当時の鉄筋量が現在の示方書に比べ少なく、耐荷力が小さいことである。C部に床版継手からの漏水と共に鉄筋の露出と腐食が見られる。この変状の原因を塩害と推定する。推定理由として、表1より、凍結防止剤散布があり、C部に漏水の跡があること、かぶりコンクリートの剥離・剥落と、内部鉄筋の腐食が発生していることである。また、A部において変状が局部的に進行した理由として、写真2より、ひび割れ箇所に水分が見られる。これによりひび割れ面に路面水が浸透している状況が考えられ、ひび割れ面の摩耗が促進し、変状が進行したことが考えられる。また、直下の引張応力負担するB部に、変状が発生していることから、A部には大きな圧縮応力が作用しやすい状況であったことの理由の1つと考えられる。

問2 A部における調査項目として、変状箇所の内部の鉄筋の健全性の調査を行う。選定理由は、ひび割れ発生個所から凍結防止剤に含まれる塩化物イオンがコンクリート内部に浸透しており、鉄筋の腐食が考えられるからである。B部における調査項目として、塩化物イオン濃度調査と、内部鉄筋の健全性調査、コンクリートの物性値の調査である。選定理由としては、表2より、B部表面に高濃度の塩化物イオンがあり、エフロレッセンスが発生していることから、凍結防止剤が含まれる路面水が浸透したものと考えられる。そのため、B部コンクリート内部にも同様に高濃度の塩化物イオンが含有されていることが考えられ、また、鉄筋の腐食も考えられる。鉄筋の腐食は、その膨張圧によりコンクリートの強度にも影響を与えている可能性があり、加えて、床版下面にひび割れが発生していることから疲労によるコンクリートへの影響もある。C部における調査項目としてはBと同様である。選定理由は、凍結防止剤が含まれた路面水の水がかりがあることと、かぶりコンクリートの剥離・剥落と鉄筋が腐食していることである。

問3 A部における対策として、内部鉄筋の防錆処理又は補強や交換を行い、床版コンクリートの打ち替えを行う。B部における対策として、内部鉄筋に腐食が確認されれば、その防錆処理と、追随性のある材料によるひび割れ注入を行う。C部における対策として、腐食している鉄筋の防錆処理と内部に浸透して塩化物イオンの除去を行う。その後ポリマーセメントによる断面修復を行う。また、路面において排水整備を行い、下部工の水がかりの範囲を対象に表面被覆を行う。全体的な補修として、橋面防水を設置し、床版への水分の供給を遮断することが重要と考える。