対象構造物は、供用開始から53年経過した中国地方山間部に位置するPCポストテンション単純T桁橋である。

問1 写真1より、A部にPC鋼線に沿ったと思われるひび割れが発生しており、錆汁が見られる。この変状の原因を塩害による鋼材膨張がもたらしたひび割れと推定する。推定理由は、①ひび割れがPC鋼線に沿ったものと見られること。②図1より、PC鋼線の定着部分が床板上面にあること。③表1より、当該橋は、冬季に凍結防止剤が散布され、塩化物イオンの供給があること。以上のことにより、塩化物イオンを含有した凍結防止剤が、雨水とともにPC鋼線シース内に侵入し、一番低い箇所に滞水したと考えられる。その結果、PC鋼線を腐食させ、その膨張圧力により、コンクリートにひび割れが発生したと考える。写真2より、B部にかぶりコンクリート部分の剥落が見られる。この変状の原因を塩害による鉄筋膨張がもたらした剥離と推定する。推定理由は、①表1より、適用示方書が昭和39年道路橋示方書であり、建設年代からすると、当該橋梁には、床板防水が設置されていない可能性があること。②変状の発生箇所が間詰コンクリート部分であり、主桁との接着不良により、継ぎ目からの漏水の可能性があること。

問2 A部の対策立案について必要な調査項目について、目的と方法として、①床板防水の有無の確認を目的とし、舗装を撤去し、床板防水の有無を目視確認する。②塩化物イオンの有無の確認を目的とし、変状発生箇所からコアを採取し、塩化物イオン濃度を測定する。③PC鋼線シース内の空隙の有無の確認を目的とし、X線透過撮影法により、桁内部を調査する。④PC鋼材の健全性の確認を目的とし、PC鋼材をはつり出し、目視観察を行う。

問3 本橋梁を今後50年間供用する場合の対策と選定理由として、主桁に対しては、①劣化原因の除去のため、塩化物イオンを除去する。②PC鋼材の防錆処理を施し、今後の腐食防止対策とする。③シース内の空隙をグラウトにより充填し、コンクリートに対して、有効なプレストレスを導入するようにする。床板に対しては、①塩化物イオンを除去し、劣化原因を排除する。②鉄筋に防錆処理を施し、今後の腐食防止対策とする。③床板防水を設置し、今後、床板に雨水や塩化物イオンが浸透しないように防水層を設ける。