問1 対象構造物は、港湾の荷役桟橋に用いられている鉄筋コンクリート製T型桁である。供用後25年経過した時に主鉄筋に沿ったひび割れやかぶりの剥離・剥落などの変状が見られたため、その補修を行っているが、補修後5年後に同様の変状が見られた。以下に問について記述する。再変状が生じた原因を、残存塩化物イオンによる塩害と推定する。その理由として、図-3より、補修深さが鉄筋が発錆しているところの背面30㎜の範囲でコンクリートをはつっているが、図-2より、塩化物イオン量が9㎝の深さにおいて1.5~2.0kg/m3程度あり、その奥も腐食発生限界濃度を超える塩化物イオンが侵入している可能性があり、その再拡散が再変状が生じた原因の1つと推定する。また、補修箇所がT型桁の底面のみであり、側面は補修されていない。補修当時側面に変状が生じていなかったかもしれないが、変状を発生させる塩化物イオンは当時から多く含まれていた為、補修時に遅れて変状が発生したと考えられる。

問2 本桟橋を今後少なくとも20年間供用する場合、補修方法として、①塩化物イオンの除去。桁の底面や側面のコンクリートをはつり取り、塩化物イオンの除去する。その際、コンクリート内部の鉄筋に発生している錆を落とし、防錆処理を行う。鉄筋の腐食の進行が大きく、断面欠損している箇所は、添筋や交換等により補強を行う。その後、ポリマーセメントモルタルにて断面修復を行う。工法選定理由として、変状発生原因となる塩化物イオンの除去、鉄筋の機能回復である。施工の留意点として、塩化物イオンの除去深さは、現時点での塩化物イオン量の調査結果に基づき、再拡散防止のため、調査結果により、腐食発生限界塩化物イオン濃度を越える深さまでは除去するように計画する。また、補修の平面範囲の決定については、補修後のマクロセル腐食を考慮する。②表面被覆を行う。前回の補修と同様に、コンクリート面全面を表面被覆する。工法選定理由は、コンクリート内部に塩化物イオンが侵入するのを防止するためである。施工の留意点として、当該箇所は屋外であり、日射の影響を受ける箇所でもあるため、耐候性のある材料を選定する必要がある。前回の補修に用いられてエポキシ樹脂は、耐薬品性はあるが、耐候性が良い材料とは言えず、上塗り材として使用すると5年程度で性能が低下する可能性があるため、避けた方が良いと考える。また、供用期間が20年以上と比較的長期である為、上記の対策に加え、外部電源方式の電気防食工法の採用も検討する。