
問1 対象構造物は、臨海部に立地する建設後35年が経過したライフラインとしての共同溝である。共同溝内面の上床版、側壁、下床版にひび割れや漏水、鉄筋腐食に伴う剥離が見られる。以下にこれらの問いについて記述する。Aの変状の原因を、外部拘束ひび割れによるものと推定する。理由として、①ひび割れが、上床版と側壁に発生しており、下床版に見られないこと。②ひび割れの発生状況が、共同溝の長手方向に対し直角方向に発生していること。③ひび割れ発生個所にエフロレッセンスと思われる白色析出物が見られ、ひび割れが貫通していることが考えられること、である。以上のことから、建設当時、先行して打設した下床版上に、後続して施工した側壁、上床版コンクリートの水和熱に伴う膨張後の収縮が拘束され、長手方向に対し直角方向のひび割れが発生したことが考えられる。また、伸縮目地の間隔が20mと比較的大きいことや、外気を取り入れることによる乾燥収縮もその発生原因として考えられる。外部拘束ひび割れは、構造物を貫通させるひび割れである為、上床版背面地山からの浸透水が内面に漏水し、エフロレッセンスを発生させたと考えられる。Bの変状の原因を、中性化により促進された飛来塩分による塩害と推定する。理由として、①共同溝内には、換気口から常時、強制的に外気が取り入れられており、臨海部である為、共同溝内は飛来塩分による塩害を受ける環境であったこと。②常時外気が取り入れられている構内で、乾燥しやすい環境であったため、中性化が進行しやすい状況であった。その為、図-3に見られる、中性化フロント減少が発生し、鉄筋かぶり付近の塩化物イオン濃度が高濃度になったこと、である。
問2 ライフラインとしての共同溝に要求される性能は、水密性の保持、耐震性及び耐久性である。その観点から維持管理(保全)計画を立案するにあたっての調査項目として、①鉄筋腐食の調査。自然電位法により、鉄筋が腐食している可能性のある範囲を調査し、代表箇所において、内部鉄筋をはつり出し、外観調査を行う。その際、腐食量調査も行い、その結果に基づき鉄筋の補修方法について検討する。②コンクリートの物性値の調査。各箇所において、コアを採取し、圧縮強度試験や弾性係数試験を行い、コンクリートの健全性を確認する。対処方法として、①脱塩工法によりコンクリート内に浸透した塩化物イオンを除去する。図-3に見られる塩化物イオン濃度は、腐食発生限界濃度を超えており、残存させると鉄筋腐食要因を残すことになるため、除去する。②鉄筋補修。腐食した鉄筋の、腐食量に応じ、防錆処理又は添筋等の補強を行う。鉄筋をはつり出すために除去したコンクリートは、ポリマーセメントモルタルで修復する。③ひび割れ注入を行う。ひび割れを閉塞し、塩化物イオンの侵入を防止する。④中性化を回復させる。ケイ酸塩系の表面含浸材を塗布し、コンクリート内部のアルカリを回復させる。⑤表面被覆を行う。外気による飛来塩分の対策として、コンクリート表面を耐塩害性のある材料で被覆し、塩化物イオン等劣化因子の侵入を防止する。留意点として、変状発生原因から見ると、外観で変状が確認できる箇所のみならず、変状が発生していない箇所においても、その可能性があることに留意し、調査する必要がある。また、変状発生環境は変わらない為、今後の定期的な点検が重要と考える。
