走査型電子顕微鏡(SEM)を用いたコンクリート組織の観察に関する記述(A)~(C)の適・不適の組合せとして、次の(1)~(4)のうち、適当なものはどれか。
(A)反射電子像を取得するために、試料を鏡面研磨した。
(B)分析中のチャージアップを抑制するために、サンプル表面に炭素を蒸着した。
(C)水和物の形態を観察するために、低真空型のSEMを用いた。

解答 (2)
解説
顕微鏡の一種でセメント硬化体組織、アルカリシリカゲル、エトリンガイトの生成状態の調査。微細表面組織の観察。電子銃から照射された入射電子線が試料に効率的に到達するように電子銃と試料との間は真空状態になっており、二次電子と反射電子(後方散乱電子)の検出量が検出器で計測される。二次電子の量で表面の凹凸状態が画像化され、反射電子(後方散乱電子)の量から物質の分布状況が画像化される。倍率は数十倍から数万倍まで自由に設定できる。また、SEMに付属のエネルギー分散型X線分析装置(EDS)で元素分析が可能である。
サンプルは、コンクリートの断面組織を観察する場合は、鏡面研磨処理を行う。単に試料表面の拡大観察を行う場合は、破面のままでよい。サンプルの大きは、小豆大でOK。前処理として、サンプル表面に薄膜の金属を蒸着する。これは、電子線を入射させる際に、絶縁体であるコンクリートが電気を帯電することにより、チャージアップを起こし、分析が不可能になるため、あらかじめ金属を蒸着し、電気を逃がすための処理である。金属としては、炭素、金が一般的である。
また、装置内の真空度を高めずに分析のできる(真空による試料ダメージの少ない)低真空型のSEMがあり、水和生成物の形態観察に適している。
物質の特定は難しく、専門技術者の判断を仰ぐ必要がある場合もある。
