RC造建築物の外壁について、竣工後25年経過時に点検を行った。この点検結果を、過去に行った竣工後1年および10年経過時点の点検結果とあわせて図に示す。10年経過時と25年経過時には中性化深さ測定も行っている。外壁はコンクリート打放しで、設計かぶり厚さは30㎜である。25年経過時までの点検結果から判断されるこの建築物の劣化状況に関する記述(A)~(D)の適・不適の組合せとして、次の(1)~(4)のうち、適当なものはどれか。

(A)乾燥収縮により生じたひび割れに、雨水が侵入している箇所がある。
(B)コールドジョイント部分で鉄筋腐食が進行しているおそれがある。
(C)かぶり厚さ不足による鉄筋腐食が柱において顕在化してきた。
(D)コンクリート表層部の中性化速度係数が時間の経過に伴い大きくなっている。

解答 (4)

解説
(A)について、乾燥収縮により、窓(コンクリート開口部)の隅角部に発生したひびわれから、白色の析出物の発生が確認されており、これは、ひび割れに侵入した雨水がコンクリートの可溶成分(水酸化カルシウムCa(OH)2)を伴って流出したもの(エフロレッセンス)である。適である。

(B)について、コンクリート打設時の不良な打重ねにより発生したコールドジョイントに雨水や酸素の侵入し、経年により内部の鉄筋が腐食したため、赤褐色の析出物(錆汁)が発生したものと考えられる。適である。

(C)について、25年経過時の柱部に帯筋に沿ったひび割れが見られる。これは、帯筋の腐食に伴うものと考えられる。この時の中性化深さは15㎜であり、設計かぶり厚が30㎜であることを考えると、中性化残りが15㎜である。一般的な環境(塩害を受けない環境)において、中性化による鉄筋腐食は、中性化残りが8㎜程度より少なくなると、腐食が開始する。これらのことから、柱部において、帯筋のかぶり厚さ不足があったため、中性化による鉄筋腐食が発生したものと考えられる。適である。

(D)について、
 中性化速度係数(10年経過)・・・10=α√10  α=3.16
 中性化速度係数(25年経過)・・・15=α√25  α=3.00
コンクリート表層部の中性化速度係数が時間の経過に伴い大きくなっているとはいえない。不適である。