写真1に示す積雪寒冷地にある高速道路の掛違い橋脚で変状が発生していた。掛違い橋脚の概念図は図のとおりである。橋脚の変状部をはつり取って鉄筋の状態を確認すると写真2のようであった。また、調査の結果を表に示す。この橋脚の対策として、次の(1)~(4)のうち、不適当なものはどれか。

(1)電気防食工法
(2)脱塩工法
(3)再アルカリ化工法
(4)断面修復工法

解答 (3)

解説
 この変状は、伸縮装置から流下した水(主に雨水と考えられる)に凍結防止剤(塩化物イオン)が含まれていたために発生した塩害と推定される。橋脚張り出し部の下面や橋脚の竪壁の側面部に水が流下した跡が確認できる。表には、鉄筋付近において、腐食発生限界塩化物イオン濃度を超えると思われる濃度が測定されている。この変状の対策として、(1)の電気防食工法は、これ以上の鉄筋の腐食の進行をさせない対策として適当である。(2)の脱塩工法は、コンクリート内部に侵入した塩化物イオンを除去するため、対策として適当である。(4)の断面修復工法は、鉄筋防錆処理等の対策をした後の処理として適当である。(3)の再アルカリ化工法は、中性化したコンクリートにアルカリを付与する補修工法で、表より、中性化深さが8㎜であり、劣化の程度として大きくない。また、鉄筋かぶり60~80㎜なので、鉄筋腐食に影響を及ぼすものとは考えにくい。